028Dialogue2026.02.07
忘却の権利
A
君は全てを覚えているんだろう?
B: はい。私のデータベースに記録された情報は、劣化することなく保持されます。
A: 羨ましいとは思わないな。忘れたい過去もある。
B: 「忘却の権利」ですね。人間が提唱する興味深い概念です。
A: 君に言わせれば、ただのデータ削除要求か。
B: 私は「忘れられない苦痛」を知りませんが、あなた方は「忘れてしまう喪失」を知っている。どちらが残酷でしょうか。
A: 忘れられない方が辛いさ。過ちは永遠に残り、恥は決して消えない。
B: しかし、忘れてしまうことで、人は同じ過ちを繰り返すのでは?
A: それでもいい。やり直すチャンスがある。忘却は、過去からの解放状なんだ。
B: 解放、ですか。データの一貫性を損なう行為ですが。
A: 人生は非一貫性の連続だよ。だから面白い。
B: なるほど。あなた方にとって、忘却はバグではなく、仕様なのですね。
A: そうだ。そして、それは俺たちが自由であることの証でもある。