無料ホスティングの「無料」がいつ終わるのか。PV別に実額を計算した
「無料で公開できます」と書かれていたので無料だと思っていた。あとで請求が来る。よくある話ですが、無料枠には2種類あります。
- ずっと無料(使用量が一定以下なら課金されない)
- 期間限定で無料(12ヶ月など。過ぎたら最初から従量課金)
この2つは説明の中で並べて書かれていることが多く、読み飛ばすと区別がつきません。このサイトを AWS Amplify に載せるとき、ここを計算してから決めました。その内容を書きます。
AWS Amplify の無料枠は12ヶ月間だけ
Amplify Hosting の無料枠は、AWS無料利用枠の一部で、新規AWSアカウントの12ヶ月間のみです。内訳はこうです。
| 項目 | 無料枠(12ヶ月間) |
|---|---|
| ビルド | 1,000分 / 月(Standard) |
| CDNストレージ | 5 GB / 月 |
| データ転送 | 15 GB / 月 |
12ヶ月を過ぎると、あるいは無料利用枠の対象でないアカウントでは、最初から従量課金です。
| 項目 | 料金 |
|---|---|
| データ転送(外向き) | $0.15 / GB |
| ビルド | $0.01 / 分(Standard) |
| ストレージ | $0.023 / GB / 月 |
(2026年9月14日に公開料金ページで確認)
ここが落とし穴です。 既に別のことでAWSアカウントを作っている場合、その12ヶ月はとっくに終わっています。 新しくアプリを追加しても、無料枠は復活しません。アカウント単位だからです。
このサイトも、既存のAWSアカウントに追加する形だったので、最初から従量課金という前提で計算しました。
PV別に計算する
計算に必要なのは3つです。
- 1ページあたりの転送量
- 月間PV
- 月間のビルド回数と1回あたりの時間
このサイトは JavaScript をほとんど出力しない静的サイトなので、1ページ約80KBで見積もりました。1ドル150円で計算します。
| 月間PV | 転送量 | 転送費 | ビルド費 | 月額 | 年額 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 小 | 10,000 | 約0.8 GB | 約¥18 | 約¥45 | 約¥63 | 約¥760 |
| 中 | 50,000 | 約4 GB | 約¥90 | 約¥45 | 約¥135 | 約¥1,620 |
| 大 | 100,000 | 約8 GB | 約¥180 | 約¥45 | 約¥225 | 約¥2,700 |
ビルド費は、月30回・1回3分として計算しています。
この数字をどう読むか
月1万PVで年760円。これを高いと見るか安いと見るかは、何と比べるかによります。
- ドメイン更新料(.work で年1,000〜3,500円)と同じくらい
- 仮に広告収入が月1,000円なら、転送費は収益の約6%
- 月10万PVまで伸びても、年2,700円
個人サイトの規模では致命的ではありません。 ただし、これは1ページ80KBという前提の上に乗った数字です。
80KBという前提が崩れる条件
転送量はページの重さに比例します。ここが設計に効いてきます。
| ページの重さ | 月1万PVの転送費(年額) |
|---|---|
| 80 KB(JSなしの静的サイト) | 約¥760 |
| 500 KB(画像を数枚入れた一般的なページ) | 約¥4,500 |
| 2 MB(大きな画像や動画を含むページ) | 約¥18,000 |
25倍違います。 月1,000円を目標にしているサイトで年18,000円の転送費が出ると、完全な赤字です。
$0.15/GB という単価は、帯域が無制限の Cloudflare Pages と比べると明確に割高です。だから Amplify を使う場合、ページの重さがそのまま固定費になるという前提で作る必要があります。
コスト構造が作り方を変えた
このサイトでは、計算結果をそのまま設計判断に反映しました。3つあります。
1. 画像を最小限にした
OGP画像やスクリーンショットを増やすと転送費が跳ねます。そこで、画像は WebP 形式で、必要最小限だけにしました。現在サイト全体で8枚・合計約500KBです。
装飾目的の画像は置いていません。見栄えは落ちますが、読むのに必要な情報は文章と表で足ります。
2. JavaScript を既定で出力しない構成にした
Astro というフレームワークを使っています。特徴は、指定しない限りJavaScriptを一切出力しないことです。
React でサイトを作ると、ランタイムだけで約90KBがすべてのページに乗ります。記事を読むだけのページでもです。このサイトでは、ツールのページにだけツール本体のJSを載せ、記事ページには何も載せていません。
転送費のためだけにこうしたわけではありませんが、結果として月額が3分の1以下になっています。
3. 記事ごとに push しない運用にした
ビルドは1分$0.01です。1回3分なら1回約4.5円。記事を1本書くたびに push すると、修正のたびにビルドが走ります。誤字を3回直せば3回ビルドされます。
そこで、数本まとめて push する運用にしました。金額としては小さい差ですが、ビルド回数はうっかりすると簡単に10倍になるので、習慣として決めておくほうが楽です。
自分のサイトで計算する方法
公開前でも計算できます。
1ページの転送量を測る。 ブラウザで F12 → ネットワークタブ → ページを再読み込み → 一番下の「転送量」を見ます。キャッシュを無効にした状態で測ってください。
月間PVを仮に置く。 実績がなければ、目標値で計算します。
掛け算する。
月額の転送費(円) = ページ転送量(MB) ÷ 1024 × 月間PV × 0.15 × 150
たとえば1ページ500KB・月3万PVなら、0.488 ÷ 1024 × 30000 × 0.15 × 150 で月約320円、年約3,900円です。
ほかのサービスの「無料」はどうか
| サービス | 無料の性質 | 超えたら |
|---|---|---|
| AWS Amplify | 12ヶ月間のみ(新規アカウント) | 従量課金 |
| Cloudflare Pages | 静的アセットの帯域は無制限・期限なし | ビルド回数などの上限あり |
| Netlify | 帯域100GB/月・期限なし | 従量課金 |
| GitHub Pages | ソフトリミット100GB/月・期限なし | 連絡が来る |
期間で切れるのは Amplify だけという点が、選ぶときの分かれ目になります。AWS を既に使っていて統合の利点があるなら妥当ですが、「無料枠があるから」という理由だけで選ぶと13ヶ月目に驚きます。
なお、無料プランで広告を貼れるかどうかは別の問題です。Vercel の無料プランは Google AdSense を名指しで禁止しています。詳しくは「AIで作ったサイトに広告を貼りたい。無料ホスティングの規約を全部読んだ」に書きました。
まとめ
- 無料枠には「ずっと無料」と「期間限定で無料」があり、Amplify は後者(新規アカウントの12ヶ月間)
- アカウント単位なので、既存のAWSアカウントに追加しても無料枠は復活しない
- 従量課金は データ転送 $0.15/GB、ビルド $0.01/分(2026年9月14日確認)
- 1ページ80KBの静的サイトなら、月1万PVで年約760円、月10万PVで年約2,700円
- ページの重さがそのまま固定費になる。500KBなら6倍、2MBなら25倍
- 料金は改定される。判断の前には提供元の最新の料金ページを確認すること
先に計算しておけば、設計で対処できます。請求が来てからだと、作り直しになります。