AIに表で出してもらうときの、指示の書き方
生成AIに「表にまとめて」とだけ頼むと、それらしい表は出てきます。ただし実際に使おうとすると、列の並びが毎回違う、比較したかった軸が抜けている、数値に単位が混ざっていて計算に使えない、といった問題にぶつかります。
原因は AI の能力ではなく、指示の側で決まっていない部分が多すぎることです。決めるべきことを先に書いておけば、出力は安定します。
原則:列をこちらで定義する
いちばん効くのは、列名を先に列挙してしまうことです。
悪い例:
主要な動画編集ソフトを表で比較して。
良い例:
主要な動画編集ソフトを表で比較してください。 列は次の5つ、この順番で作ってください。 ソフト名 / 月額料金(円、数値のみ) / 無料版の有無 / 対応OS / 書き出し形式
列を指定しない場合、AI は「一般的に比較されそうな軸」を推測します。推測は毎回わずかに変わるので、出し直すたびに構造が変わります。列を固定すれば、内容だけが変わる比較可能な表になります。
さらに、列の順番まで指定すると後工程が楽になります。Excel に貼ったあと並べ替える手間がなくなります。
単位と記号を列から追い出す
「1,200円」「約5GB」「〜3営業日」といった値は、人間には読みやすいのですが、表計算ソフトでは文字列として扱われ、合計も並べ替えもできません。
数値の列には単位や記号を入れず、数値だけを入れてください。単位は列名のほうに書いてください(例:月額料金(円))。 不明な場合は空欄ではなく「不明」と書いてください。
「不明」の扱いを決めておくのも重要です。指定しないと、AI は空欄にしたり「-」を入れたり「N/A」と書いたりして揺れます。表を機械的に処理するなら、この揺れは後で効いてきます。
行の数と選定基準を指定する
行は5つに絞り、日本国内での利用者数が多い順に並べてください。
行数を決めないと、AI は3つのときも12個のときもあります。また「何を基準に選んだのか」を指定しないと、選定理由が毎回変わって比較が成立しません。
順序の指定(多い順、安い順、発売順)も入れておくと、そのまま資料に使えます。
出力形式を指定する
貼り付け先が決まっているなら、最初からその形式で出させます。
Excel やスプレッドシートに貼るなら:
表はMarkdownではなく、タブ区切り(TSV)で出力してください。ヘッダー行を1行目に入れてください。
カンマ区切り(CSV)ではなくタブ区切りを指定するのが安全です。日本語の表では「1,200」のように値の中にカンマが入ることがあり、CSV だとそこで列が割れます。
ブログや CMS に貼るなら:
表はHTMLの
<table>タグで出力してください。装飾用のCSSは付けないでください。
Markdown のまま受け取った場合は、貼り付け先に合わせて変換します。このサイトの Markdown変換ツール は、Markdown の表を Excel 用のタブ区切りや HTML に変換できます。もらった回答をそのまま使いたいときは、出力し直すよりこちらのほうが確実です。AI に出力し直させると、内容まで微妙に変わってしまうことがあるためです。
「わからないことは書かない」と明示する
表形式の指示でとくに注意が必要なのが、空欄を埋めようとする挙動です。表という形式そのものが「全マスを埋めるもの」という圧力を持つため、AI は根拠のない値を入れてしまうことがあります。
確実な情報がないセルには「不明」と書き、推測で埋めないでください。 数値については、確認できた情報源の種類(公式サイト/レビュー記事など)を最後の列に入れてください。
出典の列を足すのは手間に見えますが、これを入れると AI が埋められないセルを「不明」と書くようになる効果があります。あとで自分が検証するときにも役立ちます。
そのまま使えるテンプレート
上記をまとめると、次の型になります。
以下の条件で比較表を作ってください。
【対象】
(比較したいもの)
【行】
5つ。(選定基準)の順に並べる。
【列】この順番で
1. (列名)
2. (列名(単位))
3. (列名)
【ルール】
- 数値の列は数値のみ。単位は列名に書く
- 確実な情報がないセルは「不明」と書き、推測で埋めない
- 出力はタブ区切り(TSV)。ヘッダー行を1行目に
【出力形式】
表のみ。前置きや解説は不要
最後の「表のみ、前置き不要」は地味ですが効きます。これがないと「以下に比較表を示します」といった前置きと、表のあとの「いかがでしたか」的な締めが付いてきて、コピーの範囲選択が面倒になります。
一度で完璧を狙わない
実務では、最初から完成形を出させようとするより、まず列だけを相談するほうが早いことがあります。
動画編集ソフトを比較したいのですが、どんな列があるとよいですか。列名の候補だけ10個挙げてください。
候補を見てから使うものを選び、それを列指定に使う。この2段階のほうが、結果的に手戻りが少なくなります。とくに自分がその分野に詳しくない場合、比較軸そのものを知らないことが多いためです。
表が出たあとの確認点
出力された表は、次の2点だけは目視で確認してください。
列数がヘッダーと本文で揃っているか:AI は行によって列を落とすことがあります。区切り記号の数を数えるとすぐわかります。
数値の桁:とくに大きな数値や外貨換算が絡むと、桁がずれていることがあります。表という形式は正確に見えてしまうぶん、誤りが見逃されやすい形式です。