AIに下書きさせて自分で仕上げる。5工程に分けた実務の流れ
生成AIに「〇〇についての記事を書いて」と一度に頼むと、それらしいものは出てきますが、そのまま使えることはまずありません。一般論が並び、具体が抜け、文末が揃い、結論が「重要と言えるでしょう」で終わります。
うまくいかない理由は単純で、一度に頼みすぎているからです。工程を分けて、それぞれで何を任せるかを決めると結果が安定します。
ここでは5工程に分けた進め方を示します。
工程1:構成を決める(AIに相談、決定は自分)
いきなり本文を書かせず、まず見出しの案を出させます。
「Excelに表を貼ると崩れる」という悩みを持つ人向けの記事を書きます。 見出し(h2レベル)の案を8個出してください。本文は不要です。 各見出しについて、そこで読者が何を知るかを1行で添えてください。
8個出させて、使うのは4〜5個です。捨てる前提で多めに出させるのが要点です。1個ずつ出させると、AIは最初に出したものに引きずられます。
このとき「この記事は何を検索した人が、何を知って帰るのか」を自分で1文にしておきます。書けないならテーマが広すぎます。工程1の本当の目的は、この1文を確定させることです。
工程2:素材を集める(自分がやる)
ここがAIに任せられない工程です。
- 実際に自分で試した手順と結果
- うまくいかなかった条件
- 数値(試した回数、かかった時間、使ったバージョン)
- スクリーンショット
長い必要はありません。1つの記事に、自分で確かめたことが1〜2個入っているかどうかで、記事の価値は大きく変わります。AI が書けるのは学習した範囲の一般論だけなので、ここを埋めない限り、同種の記事と区別がつきません。
作業としては、メモ書きで構いません。工程3でAIに渡します。
工程3:下書きを書かせる(AIに任せる)
工程1の構成と工程2の素材を渡して書かせます。
以下の構成と素材で、記事の本文を書いてください。
【構成】 (工程1で決めた見出し)
【私が実際に確かめたこと】 (工程2のメモ。そのまま貼る)
【ルール】
- 見出しは h2(##)から。h1 は使わない
- 「私が確かめたこと」は改変せず、事実として本文に組み込む
- 一般論だけの段落は書かない。書くことがなければ見出しごと飛ばす
- 「いかがでしたか」などの定型的な締めは不要
- 受動表現(〜と考えられます等)を避け、能動態で書く
最後の3つが効きます。とくに「書くことがなければ見出しごと飛ばす」は重要で、これを入れないと AI は空の見出しを一般論で埋めます。
工程4:推敲する(AIの出力を自分で直す)
AI の下書きには決まった癖があります。全文を書き直す必要はなく、次の3点を見れば印象はかなり変わります。
1. 同じ文末が3つ以上続く箇所:1つ崩します。体言止め、文の結合、理由節のいずれかで足ります。→「文末が「〜ます。」ばかりになるときの、7つの崩し方」
2. 受け身:「〜と考えられます」「〜が求められます」を探し、主体を書けるものは能動態にします。書けないものは削ります。→「「〜と考えられます」を減らす」
3. 冗長表現:「〜することができます」「〜を行います」「まず最初に」を機械的に短くします。→「冗長な日本語を削る」
この工程を AI にやらせることもできますが、推敲まで任せると、直したはずの癖が別の形で戻ってきます。指摘だけ機械にやらせて、判断は自分でするのが現実的です。
このサイトでは、これらを指摘する推敲支援ツールを準備しています。「AI率」の判定はせず、該当箇所だけを示す方針です。公開したらツール一覧に並びます。
工程5:貼り付け先に合わせて整形する(ツールに任せる)
最後に、公開先の形式に変換します。ここは完全に機械の仕事です。
- WordPress のブロックエディタ → HTML に変換してコードエディターへ
- はてなブログ(Markdownモード)→ そのまま貼れる
- はてなブログ(見たまま/はてな記法モード)→ それぞれの形式に変換
- 社内共有 → プレーンテキストか Excel
Markdown変換ツール で変換できます。全角スペースの混入や見出しの絵文字も、この段階で落とします。詳しくは「AIの下書きをブログに貼るとき」にまとめました。
工程ごとの担当を表にすると
| 工程 | 担当 | かかる時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 構成 | AIに案出し、決定は自分 | 10分 |
| 2. 素材集め | 自分だけ | 30分〜 |
| 3. 下書き | AI | 5分 |
| 4. 推敲 | 指摘は機械、判断は自分 | 20分 |
| 5. 整形 | ツール | 2分 |
合計で1時間強です。注目すべきは、AIが担当する工程3が最も短いという点です。時間がかかるのは素材集めと推敲で、ここは短縮できません。
「AIを使えば記事が5分で書ける」という話が実態と合わないのは、工程2と工程4を勘定に入れていないためです。逆に言えば、工程3の負担が消えるぶん、工程2に時間を回せるようになります。これが実務でAIを使う最大の利点です。
一度に頼まないほうがよい理由
工程を分けると、途中で軌道修正できます。構成の段階で違和感があれば、本文を書かせる前にやり直せます。一括で頼むと、気に入らない部分だけを直すのが難しく、結局全部書き直すことになります。
また、素材(工程2)を渡すタイミングが重要です。構成を決めたあと、下書きの前に渡すのが最も効きます。最初から渡すと素材に引きずられた構成になり、あとから渡すと本文に組み込まれずに付け足しになります。
公開前の最終確認
AI を使ったかどうかにかかわらず、次の3点は自分で確認します。
- 数値・固有名詞・日付:AI は自然な形で誤ります。表という形式ではとくに見逃されやすくなります
- スマートフォン幅での表示:表とコードブロックのはみ出しはここでしか気づけません
- 検索意図に答えているか:工程1で書いた1文に、この記事は答えているか
検索評価との関係については「AIで書いた記事は検索で不利になるのか」に整理しています。